「名前で呼ばれるのが、ちょっと苦手」「周りに、くわしいことを知られたくない」。そんな気持ちを持つ人は、めずらしくありません。この記事では、就労継続支援B型(障害のある人が、自分のペースで作業をする場所)で、名前や呼ばれ方、そっとしておいてほしい気持ちが現場でどう扱われるかを、ご本人目線でお伝えします。
まず、「そっとしておいてほしい」は、言っていい
名前を知られたくない。昔のことを聞かれたくない。あまり話しかけられたくない。
そういう気持ちは、わがままではありません。
通う場所では、いろいろな人が、いろいろな事情で過ごしています。「そっとしておいてほしい」と感じている人は、あなただけではありません。
この気持ちを、言葉にして伝えてよいのです。そして、伝えなくても、はじめから配慮してくれる場所もあります。
- むりに自己紹介をしなくてよいことが多い
- 「どうして来たのか」を、根ほり葉ほり聞かれない
- 話したくないことは、話さなくていい
こういう空気があるかどうかは、通う前に見ておけることでもあります。
呼ばれ方は、相談できることが多い
名前の呼ばれ方には、いくつかのかたちがあります。
- 名字(苗字)で呼ぶ
- 名前で呼ぶ
- 「さん」をつける
- 自分で決めた呼び名(ニックネーム)で呼んでもらう
どう呼ばれたいかは、人によってちがいます。「名字で呼ばれるのがいい」「下の名前は、ちょっと苦手」。そういう希望は、スタッフ(職員)に伝えてよいことが多いです。
伝え方は、むずかしく考えなくて大丈夫です。
- 「◯◯さん、と呼んでもらえますか」
- 「下の名前より、名字のほうが落ち着きます」
- 「できれば、あだ名で呼んでもらえると助かります」
こういう一言で伝わります。
ただし、呼び方の決まりは事業所によってちがいます。くわしくは、見学や体験のときに聞いてみてください。
周りの利用者に、どこまで知られる?
「病気のことや、過去のことを、他の人に知られたくない」。これも、よくある不安です。
基本の考え方として、あなたの事情を、スタッフが勝手に他の利用者へ話すことはありません。どんな病気か、なぜ通っているか、といったことは、あなたのものです。
そのうえで、気持ちがらくになるポイントを挙げておきます。
- 通っている人どうしで、事情を言い合う決まりはない
- 話したい人は話すし、話さない人も多い
- 名前を覚えるのが苦手でも、責められない
お互いに、あまり深く踏みこまない。そういう距離感の場所は、少なくありません。
「どこまで話すか」は、あなたが決めてよいことです。
書類や記録のことが、気になるとき
名前や事情は、手続きのなかで書類に書くことがあります。ここが不安な人もいると思います。
個人情報(名前や連絡先など、あなたを示す情報)の細かい決まりは、この記事では断定できません。ただ、気になることは、遠慮なく聞いてよいのです。
聞いておけることの例を挙げます。
- 書いた情報は、どこまでの人が見るのか
- 家族や他の人に、何を伝えるのか・伝えないのか
- 連絡が必要なとき、どの方法でしてくれるのか
こうした扱いの決まりは、事業所や、お住まいの市町村によってちがいます。くわしくは、市町村の窓口や相談支援専門員(福祉サービスの相談にのってくれる人)にも確認できます。
見学や体験で、そっと確かめておきたいこと
「そっとしておいてくれる場所かどうか」は、見てみると感じ取れることがあります。言葉で説明されなくても、空気で分かる部分があるからです。
見学や体験のときに、確かめておけることの例です。
- スタッフが、どんなふうに利用者へ声をかけているか
- 一人で静かに過ごしている人がいるか
- 無理に輪に入れようとする感じがないか
- あいさつや会話を、強く求められないか
そして、気になることは、その場で聞いてよいのです。
- 「あまり話すのが得意ではないのですが、大丈夫ですか」
- 「名前の呼ばれ方は、相談できますか」
- 「周りの人に、事情を言わなくてもいいですか」
こういう質問を、嫌がらずに受けてくれるかどうかも、ひとつの目安になります。
例えば、島根県松江市にあるKUKKULAのように、見学や体験を受け入れている事業所もあります。気になる場所があれば、見学のお申し込みやよくある質問を見てみると、雰囲気をつかみやすいかもしれません。
さいごに
名前や呼ばれ方、知られたくない気持ち。それを大事にしたいと思うことは、とても自然なことです。
- 「そっとしておいてほしい」は、言っていい
- 呼ばれ方は、相談できることが多い
- 事情を、どこまで話すかは、あなたが決めていい
- 不安なことは、見学や体験のときに聞いていい
あなたのペースと、あなたの気持ちを、まず大切にしてください。細かい決まりは場所によってちがうので、気になることは、市町村の窓口や相談支援専門員にも聞いてみてくださいね。
