「通ってみたい」。そう思ったのに、家族に反対された。心配してくれているのは分かる。でも、自分の気持ちも消えない。そのあいだで、どうしたらいいか分からなくなっていませんか。
この記事では、家族を言い負かす方法ではなく、あなた自身の「こうしたい」を、少しずつ言葉にしていくための考え方をまとめます。
まず、板挟みのつらさは、あなたのせいじゃない
家族が反対するのは、たいてい「心配だから」です。あなたのことを思っていないわけではないことが多いです。
でも、心配される側は苦しいものです。
- 自分の気持ちが、うまく伝わらない
- 言い返すと、ケンカになりそうで言えない
- そのうち「自分の希望って、わがままなのかな」と思えてくる
こういう気持ちは、よくあることです。あなたが弱いからでも、自分勝手だからでもありません。
まず、「通ってみたい」と思えたこと。それ自体が、大事な一歩です。その気持ちを、いったんそのまま認めてあげてください。
「説得」の前に、自分の希望を自分で確かめる
家族を説得しようとすると、相手の反論に合わせて話すことになります。すると、自分が本当は何を望んでいたのか、分からなくなりがちです。
だから、先に「自分の希望」を、自分のためにはっきりさせておくと、ぶれにくくなります。
次のようなことを、一度、頭の中や紙に書き出してみてください。
- なぜ通ってみたいと思ったのか(きっかけ)
- 通えたら、どんな一日を過ごしたいか
- 何が心配で、何なら少し安心できそうか
きれいにまとまらなくて大丈夫です。「なんとなく外に出たい」「家にずっといるのがしんどい」でも、りっぱな理由です。
これは家族に見せるためのものではありません。まず、自分が自分の気持ちを知るためのものです。
家族に伝えるときの、小さな言葉の例
自分の希望が少し見えてきたら、家族に伝えるときの言葉も、少しだけ用意しておくと楽です。
言い合いにしないコツは、「反論」ではなく「お願い」や「気持ち」で話すことです。
そのまま使える言い方の例です。
- 「反対したくなる気持ちは、分かる気がする。でも、少しだけ話を聞いてほしい」
- 「いきなり通うんじゃなくて、まず見学(場所を見に行くこと)だけしてみたい」
- 「通うかどうかは、見てから一緒に考えたい」
ポイントは、「もう決めた」ではなく「一緒に考えたい」という形にすることです。家族は「勝手に進められる」ことを心配している場合も多いからです。
うまく口で言えないときは、書いて渡す方法もあります。手紙やメモなら、落ち着いて読んでもらえることがあります。
一人で向き合わなくていい。間に入ってくれる人がいる
家族とだけで話していると、感情がぶつかって、同じところをぐるぐる回ってしまうことがあります。
そんなときは、あいだに入ってくれる人を頼っていいのです。
例えば、こういう人たちがいます。
- 相談支援専門員(福祉サービスの相談にのる専門の人)
- お住まいの市町村の、福祉の窓口の人
- すでに通っている病院やデイケアの、相談できるスタッフ
こうした人は、あなたの話も、家族の心配も、両方を聞くことに慣れています。「本人と家族のあいだをつなぐ」のも仕事のうちです。
どこに相談すればいいか分からないときは、お住まいの市町村の窓口で「就労継続支援B型(体調に合わせて働ける福祉サービス)のことを相談したい」と伝えると、つなぎ先を教えてもらえることが多いです。手続きや相談先のくわしいことは、市町村によって決まりがちがいます。くわしくは市町村の窓口や相談支援専門員にご確認ください。
「見るだけ」なら、家族も反対しにくいことがある
「通う」と聞くと、家族は身がまえます。でも「見に行くだけ」なら、ハードルが下がることがあります。
見学は、通うことを決めるためのものではありません。「どんな場所か見てみる」だけのものです。その場で「利用します」と決めさせられることは、ふつうありません。
家族が心配しているなら、一緒に見学に行くのも一つの方法です。家族が自分の目で場所やスタッフを見ると、「思っていたより安心できた」と感じることもあります。
例えば、島根県松江市にあるKUKKULAのように、見学や体験を受け付けている事業所もあります。作業の内容や一日の流れは、作業の内容やご利用の流れで知ることもできますし、気になることは見学のときに直接たずねることもできます。
見学したうえで「やっぱり違うかも」と思えば、やめていい。そう考えると、最初の一歩が少し軽くなるかもしれません。
さいごに
家族の心配も、あなたの「通ってみたい」も、どちらも本物です。どちらかを消す必要はありません。
大事なのは、あなた自身が「どうしたいか」を、少しずつ言葉にしていくこと。それだけで、家族との話し方も変わっていきます。
急がなくて大丈夫です。今日できることは、紙に気持ちを一つ書いてみることかもしれないし、相談できる人を一人さがしてみることかもしれません。小さな一歩から、はじめていきましょう。
