「今日は、だれとも話したくない」。そんな日が、ありませんか。人がきらいなわけじゃない。でも、その日の気分で、そっとしておいてほしい日がある。そんな自分でも、作業所に通えるのかな。そう不安に思う方は、少なくありません。
この記事では、「話しかけられたくない日」でも通いやすくするための、席のえらび方やサインの出し方など、日々の小さな工夫をお伝えします。
話しかけられたくない日が、あっていい
まず、お伝えしたいことがあります。
人と関わりたくない日があるのは、変なことではありません。
- 朝から気分が重たい日
- 言葉が出てこない日
- 一人で静かにしていたい日
だれにでも、こういう波はあります。毎日いつも同じ調子でいられる人のほうが、めずらしいのかもしれません。
作業所(就労継続支援B型など、体調に合わせて作業ができる場所)では、おしゃべりが得意な人ばかりが通っているわけではありません。黙々と作業したい人も、静かに過ごしたい人も、たくさんいます。
「話したくない」を、だめなことだと思わなくて大丈夫です。
席のえらび方で、関わる量は変えられる
人との距離は、言葉で伝えなくても、座る場所である程度コントロールできます。
たとえば、こんな席です。
- かべや窓にそった、はしの席
- 人の出入りが少ない、おくの席
- 作業に集中しやすい、向かい合わせにならない席
はしや、おくの席は、人の目が届きにくく、声もかかりにくいことがあります。向かい合わせではなく、同じ方向を向く席だと、顔を合わせずにすむので、気がらくになる人もいます。
逆に、人と話したい気分の日は、まんなかの席にしてもいい。
「その日の気分で、座る場所を選べると助かる」。もし席が決まっている事業所でも、こう相談してみると、変えてもらえることがあります。席の自由度は、事業所によってちがいます。見学や体験のときに、見ておくとよい点です。
「話したくない」を、言わずに伝えるサイン
話したくない日に、わざわざ「今日は話したくないです」と口で言うのは、しんどいですよね。そういうときは、サインを使う方法があります。
言葉を使わずに、気持ちを伝える工夫です。
- イヤホンやイヤーマフ(耳をおおう道具)をつける
- 下を向いて、作業に集中しているようにする
- かるく会釈だけして、言葉は返さない
こういう様子を見せると、まわりも「今日はそっとしておこう」と気づいてくれることがあります。
もう一歩すすんで、職員(スタッフ)と前もって合図を決めておく方法もあります。たとえば、こんなふうに。
- 「この印が机にあったら、話しかけないでほしいサインです」
- 「赤いふせんを貼っている日は、集中したい日です」
こういう決めごとができるかは、事業所によってちがいます。でも、相談してみる価値はあります。
職員に、一度だけ伝えておくとらく
毎日その日ごとに伝えるのは大変です。だから、通いはじめのときに、一度だけ職員にこう伝えておくと、あとがらくになります。
そのまま使える言葉を、いくつか置いておきます。
- 「調子によって、話せない日があります」
- 「黙って作業したい日は、そっとしておいてもらえると助かります」
- 「話しかけられると、しんどくなる日があるんです」
一度伝えておけば、職員がその波を分かってくれます。毎回説明しなくても、くみ取ってもらいやすくなります。
「言うと、わがままだと思われないかな」。そう心配になるかもしれません。でも、こういう伝え方は、支援の現場ではよくあることです。あなただけの特別なお願いではありません。
作業のえらび方でも、距離は作れる
人との距離は、作業の内容でも変わります。
- 一人で手を動かす作業(袋づめ、シールはり、手芸の一工程など)
- だれかと組んでする作業(組み立て、片づけなど)
一人でできる作業が多ければ、人と関わる量は自然とへります。話したくない日でも、その作業にもくもくと向かっていられます。
どんな作業があるかは、事業所によってちがいます。例えば、島根県松江市にあるKUKKULAのように、作業の内容を/workで見られるところもあります。見学のときに、一人でできる作業があるか、そっと見ておくと安心です。
見学のときに、確かめておきたいこと
通う前に、見学や体験で見ておくと、イメージがつかみやすくなります。
見るとよいところを、まとめておきます。
- はしの席や、おくの席があるか
- 席は自由か、決まっているか
- 一人でできる作業があるか
- 静かに過ごせる時間や場所があるか
- 話したくない日に、相談できそうな雰囲気か
こういうことは、建物の中を見れば、なんとなく感じ取れることもあります。言葉にしにくければ、「静かに作業したい日もあるんですが、大丈夫ですか」と、ひとつだけ聞いてみるのもよいです。
くわしい利用の流れや条件は、お住まいの市町村の窓口や、相談支援専門員(福祉サービスの相談にのってくれる人)にご確認ください。市町村によって決まりがちがいます。
さいごに
話しかけられたくない日があっても、通っている人はいます。
大事なのは、距離を自分でちょうどよく作れること。席をえらぶ。サインを出す。一度だけ伝えておく。一人でできる作業を選ぶ。こういう小さな工夫で、関わる量は変えられます。
その日の気分に、むりに合わせなくていい。合う場所は、きっとあります。まずは見てみることから、はじめてみてください。
