ご家族・支援者の方へ
親なきあとの不安。今、事業所と共有しておきたいこと
「自分がいなくなった後、この子はどうなるのだろう」。そう考えると、夜、眠れなくなることがあるかもしれません。この記事は、そんな不安を持つご家族に向けて、今できる備えのうち、事業所や相談員と共有しておくとよいことを、やさしくまとめたものです。
全部を今すぐやる必要はありません。できるところから、少しずつで大丈夫です。
「親なきあと」の不安は、あなただけのものではありません
お子さんが障害のあるご家族にとって、「親なきあと」の心配は、とても多くの方が抱えているものです。めずらしいことでも、心配しすぎでもありません。
ただ、不安を一人で抱え続けると、どんどん大きく感じてしまいます。
大切なのは、
- 不安を「見える形」にしておくこと
- 一人ではなく、支える人たちと分けあっておくこと
この2つです。備えは、あなた一人でやりきるものではありません。事業所や相談員(そうだんいん)と一緒に持っておくものです。
まず、相談支援専門員とつながっておく
「親なきあと」を考えるとき、まずつながっておきたいのが**相談支援専門員(そうだんしえんせんもんいん)**です。福祉サービスの利用について、相談にのってくれる人のことです。
この人は、ご本人の状況を知り、必要なサービスや事業所をつなぐ役目を持っています。ご家族が支えられなくなったときにも、支える側の中心になってくれることがあります。
もし、まだつながっていない場合は、
- お住まいの市町村の福祉の窓口で聞いてみる
- 今通っている事業所に「相談員を紹介してもらえるか」聞いてみる
といった方法があります。つながり方は、お住まいの市町村によって決まりがちがいます。くわしくは、市町村の窓口や相談支援専門員にご確認ください。
事業所や相談員と共有しておくとよいこと
備えのなかでも、「言葉にして伝えておく」ことは、今すぐできることのひとつです。ご本人のことを一番よく知っているのは、多くの場合ご家族です。その情報を、支える人たちにも分けておくと、あとで役に立ちます。
共有しておくと安心なことの例です。
- ご本人の得意なこと・苦手なこと(どんな作業が向いているか、何が負担になりやすいか)
- 体調の波や、注意してほしいこと(調子をくずしやすいサイン、落ち着ける方法など)
- 好きなこと・安心できるもの(好きな食べ物、落ち着く場所、話しやすい人)
- 困ったときに連絡がとれる人(親せき、きょうだい、信頼できる知人など)
これらを、口で伝えるだけでなく、紙やノートに書いておくと、より確かです。医療にかかわること(診断や薬の判断など)は、専門の人に相談しながら整理してください。
お金や暮らしのことは、専門の窓口とつなぐ
お金や住まいのことも、多くのご家族が心配する点です。ただ、これらは制度や手続きがからむため、ご家族だけで抱えず、専門の人につなぐのが安心です。
例えば、次のような相談先があります。
- お金の管理を支える仕組みについて → 市町村の窓口や相談支援専門員
- 将来の住まい(グループホームなど)について → 相談支援専門員
- 財産や後見(こうけん)のこと → 専門の相談窓口
どんな仕組みが使えるか、条件はどうかは、お住まいの市町村によって決まりがちがいます。この記事では具体的な数字や条件は書きません。かならず、市町村の窓口や相談支援専門員にご確認ください。
大事なのは、「どこに相談すればいいか」を、今のうちに知っておくことです。相談先が分かっているだけで、不安はずいぶん軽くなります。
ご本人が「通う場所」を持っておく意味
「親なきあと」の備えとして、ご本人が家の外に通える場所や、つながる人を持っておくことは、とても大きな支えになります。
就労継続支援B型(しゅうろうけいぞくしえんびーがた)のような事業所は、日中に通い、作業をしながら過ごす場所です。ここで、
- ご本人を知ってくれる支援員(しえんいん)ができる
- 日々の様子を見てくれる人が増える
- 家族以外にも、頼れる関係ができる
こうしたつながりが、少しずつ広がっていきます。ご家族だけで支える形から、みんなで支える形へと、ゆるやかに移していけます。
例えば、島根県松江市にあるKUKKULAのような事業所でも、見学(けんがく)をしてから通うかどうかを考えることができます。どんな場所か、作業の内容やご利用の流れを見てから、見学のお申し込みをすることもできます。まずは知ることから始めて大丈夫です。
さいごに
「親なきあと」の不安は、消そうとしてもすぐには消えないものです。でも、今できる小さな備えを重ねることで、少しずつ軽くしていくことはできます。
- 相談支援専門員とつながっておく
- ご本人のことを、支える人と共有しておく
- お金や暮らしの相談先を、知っておく
- ご本人が通える場所やつながりを、少しずつ増やす
どれも、一度に全部やる必要はありません。今日できることを一つ、選んでみるだけで十分です。
そして、なにより、あなた一人で抱えなくて大丈夫です。分からないことは、市町村の窓口や相談支援専門員に、遠慮なく聞いてみてください。備えは、みんなで持つものです。
