はたらくということ
発達障害の働き方、向いてる仕事は環境から選ぶ
「自分にはどんな仕事が向いているんだろう」。そう考えると、頭がいっぱいになってしまうことがありますよね。求人を見ても、職種の名前ばかりで、自分に合うかどうかが分からない。そんなふうに感じたことがあるかもしれません。
この記事では、「職種」で決めるのではなく、「環境」から自分に合う仕事を考える見方をお伝えします。
「職種」で選ぶと、合う・合わないが見えにくい
「事務が向いてる」「接客が向いてる」。こういう言い方はよく聞きます。でも、同じ「事務」でも、働く場所によって中身はぜんぜんちがいます。
- 静かな部屋で、一人でもくもくと入力する事務
- 電話がよく鳴り、人の出入りが多い事務
この二つは、名前は同じ「事務」でも、感じるつらさや働きやすさがまったくちがいます。だから、職種の名前だけで「向いてる・向いてない」を決めるのは、じつはむずかしいのです。
そこで、職種ではなく「まわりの環境」に目を向けてみます。環境から考えると、自分に合う場所が見えやすくなることがあります。
環境を見る、4つの入り口
環境といっても、ばくぜんとしています。そこで、次の4つに分けて考えてみます。この4つは、多くの人が「合う・合わない」を感じやすいポイントです。
- 音:まわりがうるさいか、静かか
- 人数:大人数か、少人数か、一人か
- 指示の出方:口で言われるか、紙に書いてあるか
- 手順の固定:やり方が決まっているか、その都度変わるか
ひとつずつ見ていきましょう。
①音と、②人数から考える
まず「音」です。人によっては、まわりの音がとても気になります。話し声、電話の音、機械の音。そういう音があると、集中しにくくなったり、つかれやすくなったりすることがあります。
自分に問いかけてみてください。
- ざわざわした場所にいると、どっとつかれる
- 静かな場所のほうが、頭がすっきりする
こう感じるなら、音が少ない環境が合っているのかもしれません。
次に「人数」です。人がたくさんいる場所が落ち着く人もいれば、少人数のほうが安心する人もいます。
- 大人数だと、まわりが気になって落ち着かない
- 一人か、少ない人数のほうが、自分のペースで進められる
どちらが「良い・悪い」ではありません。自分がどちらでラクに感じるか、それだけです。
③指示の出方と、④手順の固定から考える
「指示の出方」も、大きなポイントです。
口で「あれやっといて」と言われるのが苦手な人がいます。言われたことを覚えていられなかったり、あいまいな言い方でこまってしまったり。反対に、紙に書いてあったり、手順が決まっていたりすると、安心して動ける人がいます。
自分はどうでしょうか。
- 口で言われると、忘れたり、聞きもらしたりしやすい
- メモや紙に書いてあると、進めやすい
- 「だいたいでいいよ」と言われると、かえってこまる
最後に「手順の固定」です。毎日やることが決まっていると安心する人もいれば、同じことのくり返しが苦手な人もいます。
- やり方が決まっていると、落ち着いて取り組める
- 毎回やることが変わると、あわててしまう
こうした問いに答えていくと、「自分はこういう環境だとラクだな」という手がかりが見えてきます。
「自分の取扱説明書」を作ってみる
ここまでの4つを、いちど紙に書き出してみるのもよい方法です。むずかしく考えなくて大丈夫です。
- 音は、静かなほうがいい/気にならない
- 人数は、少ないほうがいい/多くてもいい
- 指示は、紙のほうがいい/口でもいい
- 手順は、決まっているほうがいい/変わってもいい
これは「自分の取扱説明書」のようなものです。自分がどんな環境でラクに動けるかが、少し見えてきます。
もちろん、これは今の時点でのメモです。あとから変わってもかまいません。「絶対にこうでなければ」と決めつける必要はありません。
見学のときに、環境を見てみる
環境が合うかどうかは、実際に見てみないと分からないことも多いです。だから、気になる場所があれば、見学して自分の目で確かめるのがおすすめです。
見学のときは、こんなところを見てみてください。
- 部屋の中は、静かか/にぎやかか
- 何人くらいの人が、いっしょに作業しているか
- 指示は、口で出ているか/紙に書いてあるか
- 作業のやり方は、決まっていそうか
例えば、島根県松江市にあるKUKKULAのように、作業の内容(/work)や見学(/visit)について案内している事業所もあります。こうした情報を手がかりに、自分に合いそうか見てみるのもよいと思います。
就労継続支援B型(障害や体調に合わせて、自分のペースで通える福祉サービス)を使ってみる場合の手続きは、お住まいの市町村によって決まりがちがいます。くわしくは市町村の窓口や、相談支援専門員(福祉サービスの相談にのってくれる人)にご確認ください。
さいごに
「向いてる仕事」を、職種の名前で探すと、なかなか答えが見つからないことがあります。でも、「音」「人数」「指示の出方」「手順」という環境から見てみると、自分に合う場所が見つけやすくなることがあります。
合う・合わないは、人それぞれちがっていて、当たり前です。あなたがラクに感じる環境を、少しずつ見つけていけたらいいですね。まずは、気になる場所を見てみることから始めてみてください。
